穏やかな思い出
思い出す実家での出来事の中で、心穏やかな思い出もある。
小学生の頃飼っていたインコとの思い出だ。
暖かい季節、夕方になると帰宅した父が羽を短くしたインコを庭の木に放つ。
羽が短いので遠くには飛んで行かないが、庭の木にとまったり庭に降りたり、時々私の肩や指に飛んで来て寛ぐ。
陽が傾き始めた夕時、庭の木や花に水を撒く父、庭でくつろぐ小学生の私。
この光景はしっかり覚えているけど、その思い出の記憶には何故か兄と母は出てこない。
しかし兄は誰よりもインコを可愛がっていたはずだ。
亡くなる前、具合の悪くなったインコに付き添い泣いていた兄を覚えている。
私の記憶力の問題か…
それとも兄は母とも父とも過ごすこともなく、家では1人でいる事が多かったのか…
自分の記憶を辿る事で、新しく見えて来たものもある。